どうも、みるてぃです。
私は26歳で結婚してからずっと不妊治療を続けてきましたが、子供を授からなかったので35歳の時に特別養子縁組の方向に切り替えました。
今回は、特別養子縁組とはどのような制度なのか、また、子供を迎えるまで具体的にどのような流れになるのかについて解説したいと思います!
特別養子縁組とは
特別養子縁組とは、子供と産みの親との法的な親子関係を解消し、養親と呼ばれる里親と新たに法的な親子関係を結ぶというもので、社会的養護が必要な子供の福祉の増進のためにつくられた制度です。
成立の条件
特別養子縁組が成立するためのおおまかな条件としては、まず産みの親が同意していることと、育ての親の年齢が25歳以上であること、子供の年齢が15歳未満であることが必要です。
また、最終的な縁組の決定は家庭裁判所が判断して行いますが、それまで育ての親が6か月以上実際に養育している必要があります。
里親の種類
また、特別養子縁組以外にもいくつか里親の種類があります。
- 養育里親
- 専門里親
- 養子縁組里親
- 親族里親
養育里親は、子供を実子として迎えるのではなく、ある一定の期間のみ預かって一緒に生活をする里親です。(お住いの自治体によって名称が異なることもあります)
専門里親は、虐待や障害などで心身共に専門的なケアが必要な子を一定の期間預かって養育する里親です。こちらは養育里親よりもさらに専門的な研修を受ける必要があります。
養子縁組里親は、子供を養子縁組で実子に迎える前提で養育する里親です。私はこちらの里親を選びました。
親族里親は、血のつながりのある親族の子を養育する里親で、親族里親になれる人がいる場合は養育里親よりも優先されます。
このように、養子縁組で実子としない里親というものもあるので、高齢等で特別養子縁組の条件を満たすのが厳しい場合は養育里親を選ぶこともできます。
特別養子縁組の里親になるための窓口
特別養子縁組で子供を迎えるにあたって最初の窓口は大きく分けて2つあります。
- 児童相談所
- あっせん事業者
まずは、お住いの地域の管轄の児童相談所、そして全国にあるあっせん事業者です。
児童相談所とあっせん事業者との違いとしては、まず子供の年齢があります。
あっせん事業者の場合
あっせん事業者は、妊娠中から産みの親と話し合いをしていることが多いので、子供は生まれてすぐ里親のもとに行きます。
なので、里親としてはほんとに生まれたての赤ちゃんを迎えることができるので、最初から子育てを経験できるというメリットがあります。
しかし、あっせん事業者によって様々な条件が設けられており、中には共働きだとダメだったり、年齢に上限があったり、また里親側から子供は一切選べず、性別や障害・病気の有無などもすべてを受け入れる契約になっていることが多いのと、
事業者に対して数十万円~数百万円の費用を支払う必要があったりもするので、団体ごとの条件をよく見て納得した上で申し込むようにしてもらえればと思います。
児童相談所の場合
一方で児童相談所経由での申し込みであれば、費用はほぼかからないものの、子供の年齢は生まれたてホヤホヤではなくある程度大きくなっている状態での委託が多くなります。
理由としては、妊娠中からの相談はあっせん事業者のほうに行く人が多いので、児童相談所ではさまざまな理由による緊急の保護で預かる子が多いためです。
また、そこからさらに特別養子縁組にとなると、子供を保護してから産みの親との話し合いを行うことになるので、その説明と決断まででも時間がかかり、その間に子供もどんどん大きくなっていきます。
ただ、児童相談所で子供を迎える場合は面談である程度の要望は聞いてもらえるので、それを加味した上での委託になることが多いです。
比較的若い里親であれば0歳児希望や、性別や健康状態なども一応希望としては聞いてくれます。が、その要望が絶対通るわけではなく、マッチングはすべて児童相談所が判断して行うので、参考程度という感じにはなります。
しかし、実際に提案された子がどうしても受け入れられないということであれば辞退することはできるのと、家に迎えるまでに数か月ほど児童養護施設などに通い、子供との関係がしっかり構築されてからの委託となるので安心感はあるかなと思います。
毎日新聞 『あなたの愛の手を』 への応募
また、こちらはちょっと特殊なルートにはなるんですが、大阪で発行される毎日新聞の毎週日曜の 『あなたの愛の手を』 欄では、大阪で委託を待っている子供の紹介が写真(イラスト)と簡単な説明で行われているので、ここから応募することも可能です。
この 『愛の手』 で掲載されている子供は家庭養護促進協会があっせんしており、応募者はこの協会によって審査を受けることとなります。(お住いの自治体による里親登録も別で必要)
大阪以外の人でも応募は可能なので、その場合は毎日新聞のオンライン購読をして気に入ったお子さんがいれば協会に連絡して応募という流れになります。(すでに里親登録が済んでいる場合)
実際の子供の写真と年齢がわかった上で申し込めるので、自分の希望通りの子が迎えられる可能性が高いですが、全国から応募があるので競争率は高くなることがあるのと、審査にも少し時間がかかるので実際に子供を迎えるのも遅くなる傾向があります。
実は私も一番最初はこの 『愛の手』 の記事を見て応募したのですが、その時はまだ里親登録の手続きは全くしていなかったため、それではダメだということで結局その子供に応募は出来ず、まずは児童相談所を通して里親登録をすることになりました。
なので、 『愛の手』 への応募も検討したい方はまず児童相談所から里親登録を済ませてから応募してもらえればと思います。
追記:
大阪だけじゃなく神戸の毎日新聞にも愛の手欄があるようです。
特別養子縁組で子供を迎えるまでの流れ(児童相談所経由)
私は児童相談所経由で申し込んだためあっせん事業者経由での流れはわからないので、ここでは児童相談所から子供を迎えるまでの流れを私の経験をもとに簡単に解説したいと思います。
※自治体によって内容が大きく異なる可能性もあるので参考程度に見てもらえればと思います
1.児童相談所に問い合わせ
特別養子縁組の里親になりたいと思ったら、まずはお住まいの地域の児童相談所にその旨を問い合わせます。
すると里親担当の方からいろいろと制度の説明などがあり、初回面談の日を予約することになります。
2.面談・家庭訪問を受ける
面談の回数などは自治体によって異なるかもしれませんが、私の場合はまず初回夫婦での面談があり、そこでそれぞれの生い立ちを書くような書類を渡されました。
そして次回の面談は夫婦それぞれ1人ずつの面談で、生い立ちを書いた書類を元に幼少期からの出来事や親との関係などをいろいろと聞かれます。
その後さらに心理士との面談もあり、夫婦それぞれの性格をより深堀りしてどのような人柄であるか、どのような子と相性が良さそうかなどを見られます。
また、家庭訪問も1度あり、その時に家の間取りなども確認されます。
その他にも、実習に行ったあとどうだったかという面談などもあるので、全部で8回くらいは面談に通ったと思います。
3.研修・実習を受ける
こちらも自治体によって内容は変わってくるかもしれませんが、私の場合は3日間ガッツリと特別養子縁組についての講義やグループワークを行う研修がありました。
そこで実際の里親さんに話を聞く機会があったり、同じ里親希望者同士で子供への思いを語り合ったり、戸籍の実子表記が具体的にどのような感じになるのかとかも学びました。
また、乳児院(児童養護施設)に2日間実習にも行きます。
私の場合は乳児を委託される可能性が高かったので乳児院への実習になり、そこでは1日目は乳児部屋、2日目は幼児部屋で実際に子供たちと触れ合ってお世話などを手伝いました。
これまでほとんど子供と関わる機会がなかったのですが、この実習で実際にオムツを変えたり着替えをさせたり離乳食を食べさせたりさせてもらえたことでかなり子供との生活のイメージができました。
4.各書類の提出
里親登録のためにはいろいろな書類を提出する必要がありました。
私が提出したのは以下の通りです。
- 同居する家族の写真
- 同居する家族の履歴書
- 家の平面図
- 住民票
- 戸籍謄本
- 健康診断結果(指定の項目)
- 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など)
- 最寄り駅から家までの略地図(小中学校、小児科などの位置も)
- その他申請書類
これらは半年くらいの間に少しずつ提出するんですが、一番大変だったのは健康診断ですかね。
指定される検査項目があるので、近所の病院にいってこの項目を全部検査してもらうよう伝えて実費にて健康診断を受けました。(夫婦2人分で3万円くらい)
病院側もあんまりこういう個人からの検査要望はないようでかなり困惑していましたが、事情を話してなんとか対応してもらえたという感じでした。
あとは普段全くツーショット写真を撮らない夫婦なので、このために撮影して現像したりしたのは少し手間だったかも。
もう履歴書から平面図から収入からすべてが丸裸になるんですが、子供の命を1人託されるからにはそのくらいは当然なのかなと感じました。
5.里親審査部会で承認される
すべての面談と研修と実習と書類提出が終わったら、夫婦が里親として適切なのかどうかを総合して判断する「里親審査部会」という会議で話し合われ、そこで認められば無事里親として登録されることになります。
里親登録の時には、児童相談所内にて簡単な授与式のようなものが行われました。
6.子供を紹介される
あとは児童相談所から子供の紹介があるのを待つのみです。
この子供にはどの里親が合うだろうかということを児童相談所の担当者さんが一生懸命に考えてくれるので、そこで自分たちの夫婦が選ばれたなら「こういう子がいるんですがどうですか?」と連絡が来ます。
もうこればっかりは縁なので、すぐに紹介される人もいればなかなか紹介してもらえない人もいるかなと思います。
なので、紹介を待つ間にも『愛の手』を毎週見ておいて、もし「この子だ!」という子がいれば応募してみるのもいいかもしれません。(その際は児童相談所のほうにも応募した旨を連絡)
7.子供との面会を重ねる
紹介された子を引き取りたいと気持ちが固まったら、実際に乳児院などに毎日のように通って子供との面会を重ねます。
面会の期間は子供の年齢などにもよるのでさまざまなんですが、だいたい数か月程度は通うことになるそうです。
その間に子供のお世話に慣れ、一緒に外出したりお泊りをしたりと徐々に子供との距離を縮めていきます。
乳児院の施設の中に、お泊り練習用の小さい家が建設されているところもあります。
8.家庭へ引き取り
子供との面会を十分に行い、これなら子供を家に連れて帰っても大丈夫だろうと判断されれば、そこからは家での養育になります。
ただ、この時点ではまだ戸籍的には切り替わっていないので、子供は預かっている状態となり、その間は養育手当が支給されます。(うちの場合は月5〜6万円程度でした)
養育中の医療費も全て無料で、子供に怪我など万が一があった時のための保険も無料で掛けてくれます。
※保険を掛けてくれるのは養親のみなので、仮に祖父母に預けている間に大怪我をした場合などでは実親に損害賠償金を支払わなければいけないこともあるので注意してください
また、旅行などで他府県に行く場合も医療費無料の連携等の関係から事前に児童相談所に連絡するよう言われました。
養育中は児童相談所関係の担当者さんが頻繁に様子を見に家庭訪問に来てくださったので、慣れない育児でも色々と相談できて助かりました。
訪問は最初のうちは3日に1回、その後週に1回、月に1回という風に徐々に減っていきました。
9.家庭裁判所に申し立て
そして半年程度養育したら家庭裁判所にて戸籍を移動させる申し立てを行います。
児童相談所の方からそのタイミングで色々と書類の説明が受けられるので、言われるがままに期日までに申立書を裁判所に提出に行きました。
その後は裁判所の方からも面談と家庭訪問があり、それで認められればいよいよ実子として戸籍に入ります。
10.役所で入籍手続き
裁判所から確定審判書が届いたら10日以内に役所に戸籍の入籍手続きをしにいかなければいけないので、ここはちょっとバタバタします。
役所には児童相談所の担当者さんも一緒についてきてくれたので、手続き自体はスムーズに行えました。
あとは入籍後にちゃんと戸籍に入った証として戸籍謄本を児童相談所に提出すればこれで全て完結です。
うちの場合は入籍後も半年間はアフターフォローとして数回家庭訪問がありました。
この半年間が終わったあとはもう児童相談所からアクションが来ることはなくなるので、ここからは家族だけでの生活となります。
しかし今後、子供の発達で悩んだり、真実告知について悩んだり、子供が大きくなって実親さんの情報がもっと欲しくなったりといった場合には遠慮なくいつでも連絡してきてくれと言われているので、必要があればまたフォローを受けることは可能です。
おわりに:不妊の先の選択肢としての特別養子縁組
私たち夫婦の場合は、私が35歳、夫が37歳の時に里親登録を行いました。
当時私は卵巣に問題を抱えていたものの100%子供が生めないという状態ではなく、年齢的にもまだ粘ろうと思えば粘れたので、この早い時期に特別養子縁組に切り替えていいものかすごく悩みました。
しかも、妊活と里親登録の同時進行は認めてもらえず、里親を目指すならそれ一本で進めてくれと言われたので、とりあえず登録だけしておいてどちらにご縁があるか早い方を待とう…というような甘い考えも捨てなければいけません。。
不妊治療をして子供が産めるリミットが45歳前後、しかし特別養子縁組で0歳の子を迎えられるリミットも45歳前後なので、ここをいつどんなタイミングで切り替えるのかが本当に難しい問題だと思いました。
しかも、特別養子縁組の場合は夫婦のどちらか年齢の高い方が45歳までなので、歳の差のある夫婦ではさらに厳しくなります。
私はたまたま卵巣の手術を機に特別養子縁組に舵を切りましたが、多くは不妊治療をとことんやった後に特別養子縁組を考えるケースが多いので、必然的に年齢も高くなります。
研修では他の里親希望者さんといろいろ話す機会もあったのですが、やはり夫婦どちらかが40台半ば~50歳くらいのご夫婦が多く、45歳を過ぎると基本的には0歳児の委託は年齢差的に難しくなってくるので、特別養子縁組ではなく養育里親を勧められている方もいらっしゃいました。。
なので、不妊の人すべてに特別養子縁組をおすすめしようというようなつもりは全くないのですが、知っていて選ばないのと知らなくて選べないのとは大違いだと思うので、不妊治療の先の選択肢として特別養子縁組という制度も一応あるよ。ということはより多くの人に知ってもらえればなと思っています。
具体的には45歳がおそらく運命の分かれ道になると思うので、夫婦どちらかのうち高い方の年齢が45歳になるまでには、不妊治療を続けるか特別養子縁組に進むかを一度考えてみてもらえればと思います。
では今日はこれで!
またーノシ
コメント